高校の頃の話。
国語の授業で詩を書いてくる宿題が出た。
私は「30個目の駅」という詩を書いて提出した。
ちょっと良いなと思った男の子は、友人の友人で、別の高校に通い、我が家の最寄り駅から数えて30個目の駅に住んでいた。
提出した次の授業の時。
「先生がいちばん良いなと思った詩を朗読します。タイトルは『30個目の駅』。」
朗読されるのは恥ずかしかったし、私が書いたことは知られたくなかった。
「先生は思うんだ。きれい、かわいい、面白い、おいしい、寂しい、悲しい、そういう言葉をたくさん言える人が好きだな、と。それだけを並べ立てると、何だか『アタマが悪そうな子』かもしれないけれど、そういう素直に感じる心がなければ何も始まらない。この『30個目の駅』は、提出された作品の中で、いちばん素直な心を表現した作品だと思っている。ぜひ、書き続けて欲しい。」
どんな詩だったかは、もう忘れてしまったが、
「分かっているけど 悲しいのは 30個目の駅だから
分かっているけど 寂しいのは 30個目の駅だから」
多分、終わりはそんな感じだったんじゃなかろうか。
昨日、友人と食事をした。
彼女は「おいしいね、おいしいね」と言い、私の髪型を「かわいいね、すてきだね」と褒めてくれたので、そんな事を思い出した。
タイトルの「おいしくっておいしいね」は我が娘が本当においしいと思った時に言う言葉。
とっても素敵な言葉だと思っている。