先日、人に会った。
穏やかな空気に包まれ、緩やかに時間が流れていて、その流れに舟を浮かべている友人を、そんな風に場を支配出来るその人を、少し羨ましいと思い、こんな事を考えていた。
メールを打とう、そう思う時。
とても優しい気持ちになれる相手が居る。
「今日の三日月が私のいちばん好きな形です」
「近くの大きな銀杏が散り始めて寂しいです」
そんな文章を付け加えたくなる相手。
とっておきの宝物をそっと見せたくなる相手。
それを大切に扱ってくれると思える相手。
そして私もまた、そんな風にありたい、と。
この数年間、自分の感情を粗末に扱い過ぎたかもしれない。
空っぽになってしまった宝箱を抱えて街に出よう。